②第1回あなた絵

「『あなた絵』は、こころの似顔絵です」と参加を呼びかけ、初めてワークショップとして開催したのは、今年2021年の3月13日。Zoomを通じ、3人の参加者とともに、おしゃべりをしながら、お互いのイメージを色や形で表現した。2時間という短い時間で、私たちも探り探りではあったが、とてもあたたかく、幸せな時間だった。


本当は対面で開催したかったのだが、オンライン開催は致し方ない状況だった。だが、家の中にあるものを持ち寄ったり、物理的には距離の離れた人たちと同じ時間を共有できたりと、オンラインならではの楽しみもあった。

ワークショップは14時に始まり、まずはあなた絵の説明や自己紹介から。ちょふさんによる、空中お絵描きという楽しいアイスブレイクも行われた。そしてゆるっと制作の時間に突入。それぞれ思い思いの画材を手に、6人で出身地の話や、好きなものの話に花を咲かせた。


私が描かせていただいたのは同世代の女性で、ご自身も制作活動をされている方だった。最初私は彼女の冷静で落ち着いた印象から、寒色の色鉛筆を主に使って描いていた。だが、おしゃべりをする中で垣間見える、慎重で勤勉な性格と美術に注ぐ情熱、時折見せる可愛らしい笑顔に触れるうち、自然とピンク色のクレヨンに手が伸びた。そこから、画面は暖色に覆われていき、最終的には、ピンクと水色の混ざり合いを背景に、白色の多角形が並び、花火のような形が前で弾けている絵が完成した。お渡しすると、ピンク色の印象があると言われたのは初めてだったとのことで、謙遜して「私にもピンク色のような可愛げがあるなんて嬉しい」と仰っていた。他にもあっという間の2時間の中で、5枚のあなた絵が描かれ、それぞれがお互いに感じた、好奇心や優しさなどが、魅力的な色や形になって届けられていた。


開催後、作品に少し手を加えてから、お礼のお手紙とともに封筒に包み、描いた相手に送らせていただいた。後日参加者からは、「他人に自分を絵で表現してもらうっていうのは、自分自身改めて発見があるし、相手の視点にも発見があって面白かった。貴重なコミュニケーション体験だった」という声や、「とにかくみなさんの雰囲気が柔らかくて、初対面なのに変な緊張感無く楽しめた。絵を通して自分解放していきたい、と思える第一歩となった」といった嬉しいお言葉をいただいた。初回ということもあり、拙い部分はあったと思うが、このような言葉をいただけて励みになり、今後も続けていきたい、という思いが強くなった。

「こころの似顔絵」という言葉は、まだ自分自身もあなた絵を掴みきれていない中、誰かに「面白そう」と思ってほしくて捻り出した宣伝文句だった。第1回を終え、この言葉を通してあなた絵を捉えようとすると、自分の中でその姿がちょっとだけ確かなものになった気がする。「こころの似顔絵」というのは、心をそのまま写し取る絵、という意味では決してない。その人と過ごした時間の中で感じた、相手らしさやその人の要素を、描き手のフィルターを通じて表現する。そこに映し出されるのは、そのとき共有した時間と描き手が感じたその人の断片。だから、ここで言う「似顔絵」は、顔を似せて描く、という要素よりも、“時間を共有した相手に心を込めてオーダーメイドの作品を贈る”という要素をより強く意味しているのではないだろうか。


その人そのものというよりも、その人と描き手が過ごした時間、描き手が垣間見たその人の一部があなた絵には内包されている。その時間や個性や想いが色になり、形になり、相手に届けられる。それらが目に見える具体的なものではなく、抽象的なものだったりするから、言葉に当てはめるのはなかなか難しい。だからとりあえず、それを「こころの似顔絵」と呼んで大事に育てていけたらと思っている。